Vitamix

  • インタビュー

2023.03.20

【料理家:成澤文子さん】料理を作る楽しさ、食べることを楽しむ時間、「食」が与えてくれるワクワクを共有できたら

「食」は私たちの体をつくる大切なもの。そんな「食」の力に魅せられ、家族や友人と囲む食事の時間を彩るレシピを日々提案している成澤文子さん。「笑顔と健康は食卓から」をモットーに活動する成澤さんにとって「食べること」とは?「食」を通じて伝えたいことや上手な食べ方についてもお聞きしました。

コンテストをきっかけに主婦から料理家の道へ

―幼いころから食に興味があったのですか?
はい、我が家は来客が多く、母がいつもたくさんの料理を作っているのを見ていたので、子供のころから自分でも作ったりしていました。決して上手ではなく、アヤシイ料理も数多く出来上がりましたが(笑)
大学では栄養や食品について広く学びたいと思い、食物学を専攻しましたが、食の道ではなくゼネコンに就職し、結婚後は法律事務所で働いていました。

―意外な経歴ですね!
就職超氷河期で、希望の求人がなく。。けれど、就職先で様々な経験ができましたし、周囲にグルメの方が多かったこともあってなかなか経験できないお店の味を知ることがきました。また、近くに料理学校や有名レストランが多数あったので終業後や休日に料理を学ぶことができたので、振り返ってみると当時の経験が今につながっていると思います。

―料理家になるきっかけはコンテストでした。
結婚して子供が生まれたのですが、夜泣きがひどくて。眠いし辛いしでストレスが溜まっていた時に友人の勧めで料理コンテストに応募するようになりました。夜中、真っ暗の部屋の中でも料理を考えるとワクワクするので、泣き止むまでだっこをしていても大らかに接せることができたというか。(笑)応募したら運よく大賞を頂き、すっかりはまってしまいました。

―それで料理コンテストが楽しくなって?
コンテスト会場では料理好きの方とお話しできるし、賞金や賞品が豪華で海外や沖縄にも行けたりしたので、すっかりライフワークになっていました。その一つが優勝して初代「レシピの女王」になったテレビ番組です。料理家になれたきっかけです。

「知らない」「わからない」を成長の糧に

―料理家になろうと思ったことは?
小さい頃から夢や憧れがありましたが、学生時代はまだSNSもなく、どうやったら料理家になれるのかが全く分からず、雲の上の存在。手が届かない夢だと思っていました。

―でも、ベースが家庭の料理だからこそ、成澤さんのレシピは親しみやすくて「自分にも作れそう」と思えます。
その部分は、「レシピの女王」としてテレビ番組に出演させていただいていた時に、たくさん教わりました。短い放送の中で、パッと見て作ってみようと思える簡単さ、伝え方など。私は料理家のアシスタント経験も知識もなかったので、毎回反省の連続でしたが、さまざまな経験をさせくださった番組に今も感謝しています。あれから十数年こうして好きな仕事を続けることができるのも周りの方々のお陰だと本当に有難く思っています。料理家としてはまだまだかけだしのようなものですが、少しずつでもできることを増やして頑張っていきたいなと思います。

体の声を聞きながら自分に合う食べ方を見つける

―レシピ開発だけでなく、企業や行政に向けた栄養指導もされています。
管理栄養士として特定保健指導(生活習慣病予防のための食事・生活習慣を見直す指導)のほか、血糖や血圧、コレステロールの数値を改善するレシピ提案、高齢者向けの講演などもしています。講演では様々なご質問を頂くので、少しでも対応できるようにと、今年は日本抗加齢医学会の指導士の資格を取得し、学び続けています。

―健康と食はやはり切り離せない?
特定保健指導をする中で驚いたのは、食事や生活習慣を変えることで数値が下がるだけでなく、体調も変化する人が多いことでした。疲れにくくなったとか、よく眠れるようになったとか。密接に関わっていると思います。

―自分に合う食べ方はどう見つけたらいいですか?
今は情報があふれていて、どの情報を信じたらよいかわからなくなりますよね。特定保健指導の観点からお話しすると、「一日の摂取量やエネルギー量」など毎日細かく追うのではなく、検査数値で判断します。仮に人よりたくさん食べていても健診の数値が異常でなければ問題なし、一方で食生活や運動など健康に気をつけていても指摘があれば今の食や生活習慣が体に合っていないので見直しが必要ということ。一人ひとり代謝も異なりますし、誰かが「効果があった」ものが自分にも同じ効果があるとは限りません。検査値や今の体調を振り返りながら見つけるのが一番シンプルで取り組みやすいと思います。

「できることから少しずつ」が健康への近道

―自分に合う食事を続けていくコツはありますか?
無理なく継続できることを増やし、環境を整えることがコツだと思います。食事や生活習慣の改善は、意思が弱いから継続できないとおっしゃる方も多いですが、意思の強さではなく、環境が整っていないことがほとんど。指摘されているのにお菓子がやめられないのであれば、「買い置きしない」、「決めた量を食べたら歯磨きをする」など気持ちが引きずられないルーティン化できそうなものを自身で決めて行うことで継続できる方がぐっと増えます。ちょっと頑張ればできそうなことを見つけるのもポイントかもしれません。目標を達成したら、「ノースリーブのワンピースをご褒美に買う」とおっしゃっていた方がいて、素敵だなと思いました。自分を喜ばせながら進めることも大切ですよね。

―ご自身はどんな食事を?
試作で同じものを何度も作ることがあるので、毎日教科書的な食事は作れていないですが、バランスは考えるようにしています。毎食、「たんぱく質は入ってる? 野菜は?」と大雑把な材料と量を確認する程度でしょうか。あとは彩りと盛り付けをほんの少しだけ意識して手抜き感を薄めています (笑)。

―避けている食材は?
トランス脂肪酸や飽和脂肪酸の摂りすぎには気を付けますが、特に避けているものはなく、何でも食べます!栄養素はそれぞれが相互に作用しあって働くので、さまざまな食品をとるようにすることが栄養のバランスをよくすることにつながりますし、何よりいろいろなものを楽しみたいですよね、おいしいものは心も満たされますし(笑) 。

圧倒的パワーのVitamixならパン作りも簡単

―Vitamix歴はどのくらいですか?
昨年の夏前くらいからです。場所を取らないハンドミキサーを長く使っていたのですが、Vitamixはパワーが全く違うのに驚きました。スムージーもざらざら感が全くなく、なめらかで。裏ごしが必要な料理もそのまま使えました。

―今回はベーグルのレシピを教えていただきました。
パンを作るのも好きなのですが、パン生地をこねるのって力もいるし大変ですよね。Vitamixはパワーが強力なので、生地もこねられるかな、と思って試したところ、あっという間でした! 小麦粉とバターを混ぜて水を入れたら数秒で生地がまとまります。容器にも手にも生地がくっつかないし、とても簡単です。

―作り方のコツはありますか?
小麦粉とバターを攪拌するときに、バターが小さくなっていない場合は、20回より多めにパルス機能で混ぜること。バターが寄っていたらゴムべらなどで中央に寄せて、小麦粉となじむまで混ぜてくださいね。ケトリングの後、生地が濡れているときにごまをふるのもおすすめです。しっとり柔らかな焼き上がりで、スモークサーモンやアボカドなどを挟んでもおいしいですよ。

―他に作ったものはありますか?
スコーンも作りました。スコーンは、最初に小麦粉とバターを混ぜ合わせてサラサラにする「サブラージュ」という工程があるのですが、これもパルス機能で一瞬でした。すごいですよね。

「食」は人との絆を深める大事なツール

―成澤さんにとって「食」とは何ですか?
「食」は体をつくるものですが、それだけでなく、人と人とをつなぐものだと感じています。夫の転勤で岩手、東京、北海道などに住んだのですが、各地でできた友人が家に呼んでくださって、料理でもてなしてくれました。食べながらいろいろな話をして、そのうち家族ぐるみでお付き合いするようになって、友人の輪も広がって「こんなに素敵なことがあるんだ」と思ったんです。「食」は、人との絆を深めてくれる大事なコミュニケーションのツールだと考えています。

―「食」には無限の可能性がありますね。
料理家として、管理栄養士として、「健康」と「楽しい食生活」にお役に立てればうれしいですね。

主婦から人気料理家へと華麗なる転身を遂げた成澤さん。常にレシピのことを考え、休日も関係なく試作や講演を行う日々を送っていますが、これまで続けてこられた理由を尋ねると「料理が好きのひとことでしょうね」。忙しい日々の息抜きは、ヨガやエアロビクス。体を動かすと気持ちよくリフレッシュできると言います。健康的な生活のためには、食事はもちろん、運動も大事ですが、「自分がしていないことは人にもすすめられない」と、自ら実践しているのだとか。「もっと勉強して、成長していきたい」。初心を大切に生み出された“おうちごはん”は、これからも多くの人の健康で楽しい「食」を支えていってくれるはずです。

【my recipe】ソフトでもちもち。Vitamixで生地作りも簡単
ベーグル(発酵させる柔らかいタイプ)とごぼうのポタージュ

〈ベーグル〉
【材料(6個分)】
A(強力粉150g、薄力粉100g、砂糖15g、塩4g、インスタントドライイースト2.5g)、バター10g、水75g、牛乳75g 〈ケトリング用〉湯300ml、砂糖大さじ1

【作り方】
①AをVitamixに入れ、ダイヤルを1から10まで徐々に上げ、15秒攪拌する。
②①にバターを加えてパルス機能で20回程度攪拌し、バターと粉を砂状にする。
③水、牛乳を加えて低速で40秒攪拌し、ゴムベラで周りについた粉を落としてさらに低速で20秒攪拌する。
④全体がまとまったらオーブンシートの上に取り出し、形をととのえて28~30℃度で約30分、一次発酵させる。
⑤④を粉(分量外)適量をふった台に取り出し、スケッパーで6等分する。手前から空気を抜くように折って両端を折り込んで閉じ目を下にする。生地を張るように手前に引いて丸める。
⑥オーブンシートを敷いた天板に並べて28~30度で15分おく(ベンチタイム)。
⑦粉(分量外)少々をふった台に閉じ目を上にして置き、手のひらで押さえてガスを抜く。
⑧⑦をベーグルの形に成形し、スチームを入れて28~30度で約20分発酵させる。
⑨鍋にケトリング用の材料を入れて沸騰させる。火にかけたまま、⑧を1つずつ、表面が下になるように入れる。
⑩10秒ゆでたらひっくり返し、裏側も10秒ゆでて、網じゃくしですくう。しっかり水切りし、オーブンシートを敷いた天板に並べる。
⑪230℃に予熱したオーブンで13~15分焼く。

〈ごぼうのポタージュ〉
【材料(作りやすい分量)】
新ごぼう100g、玉ねぎ1/4個、じゃがいも1個(100g)、バター大さじ1、チキンスープ200ml(市販の顆粒だしを使用する場合は、鶏がらスープの素を小さじ1強と水200ml)、牛乳300ml、塩少々、粗びき黒こしょう少々、生クリーム(あれば)適量

【作り方】
①新ごぼうはたわしで洗い、斜め薄切りにする。玉ねぎとじゃがいもは皮をむいて薄切りにする。
②鍋にバターを熱し、①を焦げないように炒める。全体に油が回ったら、チキンスープを加えて柔らかくなるまで蓋をして弱火で煮る。
③②をVitamixに入れ、牛乳を加えてダイヤルを1~7まで徐々に上げて5~6分、攪拌しながら温める。味をみて足りないようであれば塩、こしょうで調え、器に盛る。お好みで泡立てた生クリームと粗びき黒こしょうをふる。

【profile】成澤文子

料理家、管理栄養士。日本抗加齢医学会指導士。2011年『日本一家庭料理がうまい女性決定戦!レシピの女王(シーズン1)』(日本テレビ系列)で審査員満場一致で優勝し、初代「レシピの女王」に。現在、金沢市食育推進本部専門推進員を務めるほか、雑誌やWEBでのレシピ開発をはじめ、講演会、栄養監修、特定保健指導、料理教室開催ほか多岐にわたり活躍。近著に『作りおき&朝10分 糖質オフのラクチン弁当365』(学研プラス社)など。

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